专利摘要:
等方的な光散乱特性を有する顔料と非等方的な光散乱特性を有する顔料とを含む特殊効果塗料の光学特性のモデル化およびシミュレーションに適した方法。本方法はさらに、この種の特殊効果塗料の色見本の色調の再現するのに適しており、前記特殊効果塗料は適切な支持体の上に少なくとも1つの材料膜ないし塗膜を形成し、前記色見本または塗料モックアップ配合の色テストパターンの光学特性を求め、比較プロセスにより比較し、当該比較に基づいて前記塗料モックアップの配合の修正および前記色見本の色調と前記塗料モックアップの色調の一致させることができる。本方法は、前記等方性光散乱顔料が仮想的に前記材料膜を形成し、前記非等方性光散乱顔料が前記材料膜の側面に仮想的に配置されるように、前記等方性光散乱顔料と前記非等方性光散乱顔料を分離することを特徴としている。前記等方性光散乱顔料から形成される仮想的な材料膜の光学特性は線形微分方程式により求められ、前記非等方性光散乱顔料の光学特性は所定の特殊効果演算子により境界条件として考慮される。
公开号:JP2011505567A
申请号:JP2010536337
申请日:2008-10-21
公开日:2011-02-24
发明作者:ボルネマン クリスティアン;バウマイスター クレメンス;ベルリン ハーラルト;カールラート ヨーゼフ
申请人:ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se;
IPC主号:G01J3-52
专利说明:

[0001] 本明細書は特殊効果塗料の光学特性のモデル化およびシミュレーションのための方法および装置、とりわけ、等方性光散乱顔料と非等方性光散乱顔料を用いた特殊効果塗料の光学特性のモデル化およびシミュレーションならびに特殊効果塗料の色見本の色調ないし配合の再現のための方法および装置に関する。]
[0002] 背景
塗料の一次配合および修正の計算には、塗料の光学特性の計算とシミュレーションを可能にする様々な物理的モデルが、例えばKubelka-MunkおよびGiovanelliによる物理的モデルが適用される。これらの光学特性は実質的に塗料に含まれている顔料によって決まる。その際、等方性光散乱顔料と非等方性光散乱顔料とを区別することができる。等方性光散乱顔料は入射光の多重散乱を生じさせるため、反射光ないし散乱光の強さは入射光の照射方向にも観測方向にも依存しない。多重散乱のゆえに、少なくとも近似的に反射光および散乱光の強さの等方性が生じる。これとは反対に、非等方性光散乱顔料の場合、反射光の強さは以下で詳しく示すように入射光の照射方向と観測方向とに依存する。]
[0003] 塗料の光学特性の計算およびシミュレーションに使用される物理的モデルはいわゆる放射輸送方程式(RTE)を用いる。放射輸送方程式では、光の強さは塗料の光散乱顔料の散乱方向に依存して位相関数の形で表される。普通の塗料で使用されているような等方性光散乱顔料の場合、位相関数は定数である。それゆえ、角度と層厚に依存する放射輸送方程式は近似的に定数係数の線形微分方程式系によって記述可能であり、固有値アプローチを用いて効率的な計算時間で解くことができる。したがって、放射輸送方程式は線形微分方程式系で代用される。しかし、この物理的モデルの近似的な簡略化は等方的な光散乱特性をもつ顔料にしか適用できない。]
[0004] 普通の塗料とは違い、いわゆる特殊効果塗料は等方的な光散乱特性をもつ顔料の他に非等方的な光散乱特性をもつ顔料も有しており、この非等方的な光散乱特性をもつ顔料が相応する塗料に非等方的な光散乱特性を与えている。このような非等方的な光散乱特性をもつ顔料には、例えば自動車塗料においていわゆる「真珠光沢効果」を生じさせるマイカ粒子ないしマイカのような、アルミニウム顔料および/または干渉顔料が数えられる。]
[0005] 塗膜を照射する際に非等方性光散乱顔料を使用すると、反射光ないし散乱光の光強度分布が照明方向と観測方向の他にさらに層の光学的厚さに依存して可変になるので、この場合、位相関数は純粋に等方的に光を散乱させる顔料とは対照的に定数ではない。したがって、特殊効果塗料の場合、角度に依存する位相関数が用いられる。しかし、そうすると、簡単に解ける線形微分方程式系が手に入らなくなってしまう。この微分方程式系はもはや閉じた方程式系としては解くことができず、その扱いには明らかに高い数値計算コストがかかる。]
[0006] したがって、本明細書は非等方性光散乱顔料を用いた特殊効果塗料に対して等方性光散乱顔料の物理的モデルを使用する方法を提案する。この方法により、非等方性光散乱顔料の場合でも、近似的に、簡単かつ時間効率的に解ける定数係数の線形微分方程式系を得ることができる。]
[0007] この方法によれば、等方的な光散乱特性をもつ顔料だけでなく非等方的な光散乱特性をもつ顔料も含有する特殊効果塗料の光学特性のモデル化およびシミュレーションが可能である。なおここで、特殊効果塗料は適切な支持体の上に少なくとも1つの物質層ないし塗膜を形成している。]
[0008] さらに、この方法によれば、このような特殊効果塗料の色見本の色調の再現は、この色見本の光学特性を例えば色テストプレートのような塗料モックアップの配合の色テストパターンを用いて求め、比較により比較することによって可能になる。塗料モックアップの配合の修正はこの比較に基づいて計算されるので、2つの塗料−色見本の塗料と色テストパターンないし塗料モックアップの塗料−の色調の一致を達成することができる。]
[0009] この提案された方法によれば、等方性光散乱顔料と非等方性光散乱顔料は、等方性光散乱顔料が仮想的に少なくとも1つの物質層を形成し、非等方性光散乱顔料がこの物質層の側面に仮想的に配置されるように仮想的に空間的に分離されるので、等方性光散乱顔料を形成する仮想的な物質層の光学特性は線形微分方程式系によって求めることができる。これに対し、非等方性光散乱顔料の光学特性は線形微分方程式系を解くための境界条件として特定の特殊効果演算子によって考慮される。特殊効果演算子の詳細な説明は付録2で与える。]
[0010] 物質層は例えば二重層から成っていてよい。この場合、非等方性光散乱顔料は二重層の内側境界面に仮想的に配置される。内側境界面とは、二重層の2つの層の間の境界面のことである。]
[0011] これが意味することは、「普通」の等方性光散乱顔料はこの提案された方法により非等方性光散乱顔料から仮想的に空間的に分離されるということである。もちろん、この分離は仮想的な物質層または二重層上でのみに限定されない。それどころか、等方性光散乱顔料の仮想的な物質層は、複数の仮想層を有する積層状の仮想多層構造を含む、またはこの多層構造から形成されていてよい。これらの仮想層の各々に対して、非等方性光散乱顔料が仮想層の各境界面に配置される。]
[0012] 別の実施形態によれば、非等方性光散乱顔料は専ら各内側境界面に配置される。]
[0013] 平均して、特殊効果塗料の塗膜の中に入れた非等方性光散乱顔料は照明ジオメトリが垂直または環状である場合にはアジマスに依存しないので、放射輸送方程式もアジマスには依存しない形で扱うことができる。したがって、通常の等方性光散乱顔料は仮想層にわたってまたはすべての仮想層にわたって分布していると仮定される。このことにより、非等方性光散乱顔料の作用は特別に開発された特殊効果演算子を用いて線形微分方程式系の境界条件に移される。それゆえ、非等方性光散乱顔料の作用物質に固有の特性は専ら境界面(場合によっては内側境界面のみ)において微分方程式系の境界条件を介して考慮される。作用物質演算子そのものは付録2に例として示されているような適切な行列乗算によって表すことができる。]
[0014] これらの境界条件は、上で説明したように、仮想層の境界面(場合によっては内側境界面のみ)において作用する。さらに、仮想層の内部では、通常の等方性光散乱顔料の作用はこのようにして相応する放射輸送方程式の定数位相関数によって記述されうるので、この方法でも放射輸送方程式の計算は簡単かつ時間効率的である。これにより、種々の層厚とアジマスに依存する照明方向とについて、特殊効果塗料の放射輸送方程式が角度に依存して効率的に計算される。]
[0015] さらに、この方法によれば、塗料の屈折率と、基礎となる問題に応じて放射輸送方程式を解くための2次式から得られる離散角度とを考慮して、シミュレーションの物理的モデルに適した分光測色器の照明角度を計算することができる。]
[0016] 1つまたは複数の照明角度を計算する際、例えば空気から塗料への光学的な相転移が考慮されなければならない。これがいわゆる「フレネル」の関係式を介して塗膜内へ移行する際の入射光の光路の方向変化を導く。ここで、照明の入射方向は、相転移によって変化した放射方向が塗膜内で2次式で与えられた方向と一致するように選ばれている。これに関しては、以下により詳しく説明する図4aおよび4b、ならびに入射方向の調節のために設けられた装置506ないし506bを参照されたい。] 図4a
[0017] 仮想的に多層構造に分節された、特殊効果塗料の個々の層のモデル化およびシミュレーション以外に、実際に存在する多層塗料構造にこの方法を適用することも考えられる。これは、仮想的な積層状多層構造が特殊効果塗料の実際の多層構造と一致する、またはそのようなものと同一視されるということを意味する。例えば、この実際の多層塗料構造は、電気分解により析出させたプライマー層、充填塗料層、下塗り層およびその上のクリアワニスから成っていてよい。このケースでも、境界条件における塗膜の所定の光学特性を考慮して、相応する線形微分方程式系を解くことができる。それゆえ、上に説明した方法は多層塗料構造の本来の色調に及ぼす色付きの下塗りまたはクリアワニスの影響を明らかにするのにも適している。]
[0018] 今日の塗料に作用物質として添加される非等方性光散乱顔料は、上で述べたように、例えば金属質の反射粒子(例えばいわゆるシルバーダラー)または例えばおよそn=3の屈折率をもつマイカ小板もしくはマイカ粒子を含んでいる。これらの非等方性光散乱顔料は、およそ0.1μmの大きさの通常の等方性光散乱顔料に比べて明らかに大きな、数μmまでの大きさの顔料ないし粒子である。]
[0019] 上記のように非等方性光散乱顔料を仮想層の境界面に仮想的に配置することにより、非等方性光散乱顔料を微分方程式中で扱う必要がなくなり、境界条件を介して考慮することができるようになる。ここで、等方性散乱顔料との関係において、非等方性光散乱顔料の表面密度(η)、角分布(σ)および塗膜の光学的厚さ(τ)が考慮されなければならない。この考慮に関する詳細は付録2に示されている。]
[0020] 塗料製造時には、上記のように、物理的モデルを使用して、例えば修正配合のような適切な措置が計算され、この措置により、予め与えられた色見本ないし色調指定に製品バッチ番号を合わせることができる。このプロセスはいわゆる「モデル援用プロセス制御」と呼ばれる。]
[0021] しかし、このためには、特殊効果塗料の製造専用に、非等方性光散乱顔料の角度依存する影響を考慮することのできるここに説明してきたようなモデルが必要である。]
[0022] さらには、製造時に、非等方性光散乱顔料の角分布を変化させる添加剤によって特殊効果塗料の光学特性を変化させることもできる。また、非等方性光散乱顔料の性質は角分布に影響を与えるとともに、溶媒平衡を変化させることができる。というのも、溶剤の気化の反応速度が非等方性光散乱顔料の角分布に影響を与えるからである。光学特性のこれらの変化も上記方法による境界条件の適合や非等方性光散乱顔料に対する特殊効果演算子を介して考慮される。]
[0023] したがって、上記方法によれば、色見本と塗料モックアップの配合の色テストパターンの光学特性を−例えば製造連の色テストプレート上で−測定し比較することで、色見本の再現を実際の測定により行うことができる。なお、比較の際、差から修正配合が計算され、シミュレートされる。]
[0024] 同様に、上記方法によれば、光学的相転移を考慮するために、濃度の物理的パラメータと含量の光学定数(K,S)、したがってまた層の光学的厚さ、非等方性光散乱顔料の濃度、したがってまたその表面密度、角分布、顔料ないし粒子のサイズおよび幅ならびに屈折率を選択的に仮想的に組み合わせることにより、特定の塗料ないし塗料の色調に関して色配合の仮想的なシミュレーションを行うことができる。]
[0025] このことは、上記方法を用いれば、色配合のシミュレーションのために複数の既知の色見本の光学特性を仮想的に組合せ、それにより既知の色見本の光学特性を着色剤の物理的パラメータに基づいてモデル化することができるということを意味している。]
[0026] さらに、本明細書は上記方法を使用する装置を提供する。この装置は所定の入射角度ないし照明角度で平行放射によりおおよそ実際にまたは仮想的に一様な照明を行う。このような一様照明は例えば環状の光源によって得ることができる。さらに、この装置は照明ジオメトリを確定するための手段を有している。このために、この装置は付録3に詳細に説明されている照明の入射角度を定める手段を有している。垂直または環状の照明ジオメトリの主な利点は、これらの照明ジオメトリでは塗膜の中に入れた非等方性光散乱顔料ないし特殊効果顔料が平均してアジマス依存性を持たないため、放射輸送方程式もアジマスに依存せずに扱えるということにある。]
[0027] 提案されたアプローチの別の実施形態は本明細書の説明と添付図面とから明らかとなる。]
[0028] 上に述べた特徴およびこれから説明する特徴は、本開示の範囲を逸脱することなく、示された個々の組合せだけでなく、他の組合せまたは単独でも使用可能であるものと理解されなければならない。]
[0029] 以下では、考えられる実施例を図面に概略的に示し、この図面を参照して説明する。]
図面の簡単な説明

[0030] 非等方性光散乱顔料と等方性光散乱顔料を用いた特殊効果塗料の層の断面を示す。
実際の多層塗料構造の断面を示す。
図3は、内側境界面に非等方性光散乱顔料を配置した仮想的な多層塗料構造の断面を示す。
環状照明を使用する装置の概略図を示す。
仮想的な環状照明を使用する装置の概略図を示す。
色見本を再現するプロセスのフローチャートを示す。
新しい色配合のモデル化とシミュレーションを生成するプロセスのフローチャートを示す。
等方性光散乱顔料のモデルに従い、塗料の層厚に依存する放射強度を示す。
非等方性光散乱顔料のモデルに従い、特殊効果塗料の層厚に依存する放射強度を示す。
単一照明を用いた場合の補完された屈折率楕円体を示す。
仮想的な環状照明の場合の測定プロセスのシミュレーションを示す。] 図3
[0031] 図1には、特殊効果塗料の層200の断面が示されている。塗膜の中には非等方性光散乱顔料ないし特殊効果顔料202と等方性光散乱顔料201が含まれている。したがって、塗膜は非等方性光散乱顔料202と等方性光散乱顔料201の組合せを含んでいる。非等方性光散乱顔料202は塗膜内に不規則にないしはランダムに分布しており、等方性光散乱顔料に比べて明らかに容積が大きい。
図2には、支持材301上の実際の多層塗料構造の断面が示されている。この塗料構造300は電気分解により析出させたプライマー層302、充填塗料層303、下塗り層304およびその上のクリアワニス305から成っている。また、このケースでは、層302,303,304および305の所定の光学特性を線形部分方程式を解く際の境界条件として考慮することもできる。したがって、下塗り層304ないし多層塗料構造300の元々の色調に対して色付きの基層302,303またはクリアワニス305が及ぼす影響を求めることが可能である。] 図1 図2
[0032] 図3には、仮想的な多層塗料構造400が示されている。この多層塗料構造400は等方性光散乱顔料層402に分割されており、等方性光散乱顔料層402内には専ら等方性光散乱顔料403のみが含まれている。それに対して、等方性光散乱層402の境界面401上には、非等方性光散乱顔料ないし特殊効果顔料404が仮想的に配置されている。非等方性光散乱顔料404をこの仮想的な多層塗料構造400内にまたは層402の境界面401上に配置することにより、微分方程式中で非等方性光散乱顔料404を扱わなくてもよくなり、境界条件を考慮することで微分方程式を簡単に解くことができるようになる。ここで、多層塗料構造400の層の数は任意に選択してよく、与えられた要件に適合させてよい。] 図3
[0033] 図4aには、環状照明501を使用する装置の概略図が示されている。図では、塗料面502の法線503に対して角度α 504の方向を向いた平行な環状放射505が与えられている。したがって、角度α 504は入射角であり、例えば付録3で詳細に説明されている装置506を介して、基礎となる物理的モデルに従って調節が可能である。垂直または環状の照明ジオメトリのおかげで、この照明ジオメトリでは塗料面502ないし塗膜の中に入れた非等方性光散乱顔料は平均してアジマス依存性を有していないため、放射輸送方程式もアジマスに依存せずに扱うことができる。] 図4a
[0034] 図4bには、図4aに似た装置が示されている。この装置では、環状照明は入射角α504bをもつ実際の平行な個別照明501bを重ね合わせることにより仮想的に形成される。装置506bについては付録3でより詳細に説明されるが、この装置506bによれば、この角度α 504bを物理的ないし数学的な計算モデルに従って調節することが可能である。] 図4a 図4b
[0035] 図5には、特殊効果塗料の色見本611の色調を再現するプロセスのフローチャートが示されている。色見本611および塗料モックアップ621(製造連パターンないし色テストパターン)の光学特性は測定612ないし622において上記方法により求められ比較されるので、この方法の基礎となるモデル640に基づいた補正計算により塗料モックアップ621の修正配合650を用意することができる。この修正配合650を用いれば、色見本611の色調と塗料モックアップ621の色調を一致させることができる。このために、第1のステップにおいて、色見本611の光学特性が上記方法により求められ、いわゆる目標値としてまたは目標曲線612の形で保存される。次に、現行の色配合を用いて製造連パターンとして確立された塗料モックアップ621の光学特性が同様に上記方法により測定され、測定値622が色見本611の目標値612と比較される。2つの測定612,622が互いに相違しているならば、上記方法により上記モデル640に基づいて修正配合650を計算し、シミュレートすることができる。この修正配合650を用いれば、塗料モックアップ621の色調を色見本611の色調と一致させることができる。] 図5
[0036] 上記のプロセスないし上記の方法は、既存の色見本の再現の他に、新しい色配合のモデル化およびシミュレーションにも適している。]
[0037] 図6には、新しい色配合ないし一次配合740のモデル化とシミュレーションのためのプロセスのフローチャートが示されている。このために、新しい色調パターン711の測定712に基づき、上記モデル731と特定の原料721の特徴722を用いて適切な色配合が計算される。このようにして、基礎となるモデル731に従い、新しい色配合ないし一次配合が仮想的に表現される。したがって、この新しい色配合ないし一次配合の組成732は正確に知られている。特に、このプロセスないしこの方法は、上記のように、特殊効果塗料ないしその色配合のモデル化とシミュレーションに適している。] 図6
[0038] 図7には、非等方性光散乱顔料のモデルに従い、塗料の層厚に依存する放射ないし照明の強度が示されている。層厚の増大とともに強度が連続的に低下81するのがはっきりと分かる。光学特性は、このモデルによれば、比較的容易にかつ効率的な計算時間で解ける定数係数の線形微分方程式系により近似的に記述される。] 図7
[0039] 図8には、非等方性光散乱顔料の本開示によるモデルに基づき、特殊効果塗料の層厚に依存する放射ないし照明の強度が示されている。これに基づいて、非等方性光散乱顔料の境界面における光学特性が考慮される。区分的に連続して強度が低下することが特徴的である。連続的なプロフィール91を有するこれらの区間内では、等方性光散乱顔料の光学特性が線形微分方程式によって記述される。層の間の境界面では、強度曲線における「段」92として表されている非等方性光散乱顔料の作用物質に固有の特性が相応に適合させた境界条件を介して考慮される。] 図8
[0040] 図9には、特定の入射角の下での単一照明を用いた場合の補完された屈折率楕円体が示されている。なお、屈折率楕円体とその求め方は付録3に詳しく説明されている。図示されたx−y平面は、塗料と周囲環境ないしは周囲空気との間の境界を画する塗料表面を表している。また、図示されたz座標は塗料または塗膜の厚さの方向を示している。91は、等方性光散乱顔料により生じる、屈折率楕円体のX−y平面領域内の小領域を表している。これに対して、塗膜内に空間的に広がっている屈折率楕円体の残りの部分92は非等方性光散乱顔料により生じる。] 図9
[0041] 図10には、仮想的な環状照明を提供する単一照明源のn個のアジマス角について、図9の補完された屈折率楕円体を重ね合わせることにより、仮想的な環状照明の場合の測定プロセスのシミュレーションが示されている。シミュレーションの詳細な説明は付録3で行う。] 図10 図9
[0042] この色調および相応する色配合の仮想的モデル化、シミュレーションおよび再現により、実際に色を混ぜる前に、新しい色見本ないし色調および色の組合せ、特に上下に重ねた色層の組合せを比較的速く、簡単にテストすることが可能になる。とりわけ、上記の方法によれば、このプロセスを非等方性光散乱顔料を用いた特殊効果塗料にも使用することができる。したがって、この方法によれば、原料、材料費および人件費を節約することが可能である。さもなければ、色調を実際に実験的に混合することになってしまう。]
[0043] 付録1
放射輸送方程式の詳細な説明
放射輸送方程式(RTE)の一般的な形式は以下に示すように積分微分方程式である:

ここで
Iは求められる放射密度であり、
pは位相関数であり、
τは光学的深さであり、
φはアジマス角である。
μは次の関係式を介して仰角θから求められる:
μ = cos(θ) (1.2)
照明が回転対称であり、位相関数pがp=ωの定関数ならば、RTEは次のように簡略化される:

RTEの右辺の積分を区間[−1,1]内のn個のデータポイントで数値求積法により、例えばGauss-Radauにより(近似的に)解けば、定係数ai,j,i,j=1,...,nの線形微分方程式系が得られる。
係数を標準的に行列の形に整理すれば、この微分方程式(DE)は次の形に書ける:

このDEの解は(n=1の1次元の場合と同様に)次の通りである:

(多次元の)指数関数exp()は行列Aの固有値ないし固有ベクトルを介して線形代数の標準的な方法で計算できるので、RTEの閉じた近似解が得られる。]
[0044] 付録2
特殊効果演算子の詳細な説明
付録1に示した「普通」の塗料(すなわち、発色する等方性光散乱顔料が塗膜全体にわたって連続的に分布している)の放射輸送方程式(RTE)を、RTEの積分を数値求積法で近似し、付録1で説明されているように、RTEを定係数の線形微分方程式系に置き換えることにより解けば、塗料の境界面ないし外表面において照明の放射強度を考慮した十分な境界値を定めることができる。
特殊効果塗料の場合にはさらに、使用するモデルに基づき、作用物質が配置された仮想的な内側限界面ないし境界面において境界条件ないし接続条件を定式化することができる。
付録1に示した線形DE(1.5)のn次元強度ベクトルIのうち、限界層ないし境界面より上のものをI_S1と呼び、限界層ないし境界面よりも下のものをI_S2と呼び、n次元強度ベクトルの成分のうち、照明の上向きのビームないし光ビームに対応する最初のn/2個の成分には"up"というインデックスを付け、残りのn/2個の成分には"dn"というインデックスを付けることにすれば、例えば以下の強度ベクトルが得られる:

内側限界面ないし境界面における光学深さTに関しては、以下の境界条件ないし連続性条件が守られなければならない:
I_S1up = η SPR I_S1dn + (1-η) I_S2up + η * SPL* I_S2up (2.2)
I_S1dn = η SPR I_S1up + (1-η) I_S2dn + η * SPL * I_S2dn (2.3)
ここで、"SPR"および"SPL"は(n/2×n/2)行列であり、例えばn=8の場合には次のように定義される:

一般のnの場合も明らかに同様にして得られる。
これらの行列は、非等方性光散乱顔料ないし特殊効果顔料の角分布を表す一般的な行列係数piを有している。パラメータηは表面密度を表している。
標準的な代数的変形により、連続性条件は(n×n)行列Mによるコンパクトな行列記法
I_S2 = M I_S1
で表すことができる。この行列Mは特殊効果演算子と呼ばれる。]
[0045] 付録3
照明の入射角を定める手段に関する説明
照明の入射角を定める手段を使用するには、まず照明の適切な入射角αを求めなければならない。これに関して、測定対象への照明の入射光は、例えば周囲空気(n0=1)と塗料ないし硬化した塗料結合剤(n1=1.5)との間に光学的な相転移がある場合には、相応の界面を通過する際に拡散方向に偏向ないし歪められるということに注意しなければならない。差し当たり、少なくとも適切な入射角αは、相転移における媒質の予め決まった屈折率に基づき、いわゆる「フレネル」の関係式と相応しい求積法とを用いて計算することができる。
照明の入射角を定める手段を有する分光測色器では、この計算された照明角を調節することができる。しかし、一般に入手可能な測定器は入射角を定めるこのような手段を用いず、固定的な照明入射角を用いている。その結果、求積法と「フレネル」の関係式とから計算された入射角にできるだけ近い固定的な入射角を用いる相応しい測定器を使用しなければならなくなる。
照明入射角を定める手段は図4aおよび4bに装置506および506bとして概略的に示されている。
図4bの記載に従って仮想的な照明により照明を行うならば、入射角αの調節は上記の説明と同様にして行われる。
さらに、仮想的な環状照明を使用する場合には、測定はさらなるステップで補完される。仮想的な環状照明は、所定の方向から所定の入射角でまたは所定のアジマス角で測定対象に照射され、アジマス角が変化しても入射角が同じならば、測定対象の周りを環状軌道を描いて回転する例えば点状の単一照明を指す。それゆえ、環状の照明ないし光源を使用する代わりに、環状照明を仮想的に単一照明で置き換えてもよい。
まず、入射角とアジマス角がともに一定の場合には、測定対象で反射した光の強度の測定が測定対象の外部で行われる。測定から得られた測定値を変換することにより、これら測定値に属する、測定対象の内部における強度値を「フレネル」の関係式を用いて求めることができる。例えば、少数の測定値だけ、またはこれら測定値に属する強度値だけが求められる。
別のステップでは、適切ないわゆる「当てはめ」関数を強度値に合わせ、ないしは「当てはめ」、仮想的な強度値を補完してよい。これらの仮想的な強度値は、「当てはめ」曲線を照角周りに適切に回転させることにより、いわゆる補完された「内部」測定屈折率楕円体を成す。
これは、まず測定対象の外部で測定された測定値から変換により測定対象の塗料の内部における強度値が求めら、「当てはめ」関数により近似されるということを意味する。3次元強度値分布ないし測定屈折率楕円体は塗料の内部に変換された照角の周りの回転により計算される。ここで、照角はヘッドライトと同様に塗料の滑らかな表面における入射光の反射により決まる反射角を規定する。補完された「内部」測定屈折率楕円体の例は図9に示されている。ここで、「内部」という名称は、塗料の「内部」に生じるが、外部で行われる測定の構成要素ではない強度値分布であることを表している。
「当てはめ」関数は例えば次のように表すことができる:

ここで、θは塗膜内の測定屈折率楕円体の関連する開口角を表している。
次に、仮想的な環状照明を用いて測定プロセスのシミュレーションが行われる。このシミュレーションは、所定のアジマス角について形成した補完された測定屈折率楕円体をn個の異なるアジマス角について重畳することにより行われる。様々なアジマス角に関して測定屈折率楕円体を重畳することは使用する照明を測定対象の周りの環状軌道上で回転させることに相当するので、様々なアジマス角からの照明が、したがってまた仮想的な環状照明がシミュレートされる。図10には、このようなシミュレーションないしは仮想的な環状照明を用いた測定プロセスがn=36の場合について図示されている。] 図10 図4a 図4b 図9
权利要求:

請求項1
等方的な光散乱特性を有する顔料と非等方的な光散乱特性を有する顔料とを含む特殊効果塗料の光学特性のモデル化およびシミュレーション、ならびにこの種の特殊効果塗料の色見本の色調の再現するための方法であって、前記特殊効果塗料は適切な支持体の上に少なくとも1つの材料膜ないし塗膜を形成し、前記色見本または塗料モックアップ配合の色テストパターンの光学特性を求め、比較プロセスにより比較し、当該比較に基づいて前記塗料モックアップの配合の修正および前記色見本の色調と前記塗料モックアップの色調の一致させることができるようにした方法において、前記等方性光散乱顔料が仮想的に前記材料膜を形成し、前記非等方性光散乱顔料が前記材料膜の側面に仮想的に配置されるように、前記等方性光散乱顔料と前記非等方性光散乱顔料を分離することにより、前記等方性光散乱顔料から形成される仮想的な材料膜の光学特性を線形微分方程式により求め、前記非等方性光散乱顔料の光学特性を所定の特殊効果演算子により境界条件として考慮する、ことを特徴とする方法。
請求項2
前記等方性光散乱顔料の仮想的な材料膜は複数の仮想層を有する積層状の仮想多層構造を含んでおり、前記仮想層の各々について、前記非等方性光散乱顔料は前記仮想層の各境界面に配置される、請求項1記載の方法。
請求項3
前記積層状の仮想多層構造は特殊効果塗料の実際の多層構造に対応する、請求項2記載の方法。
請求項4
請求項1から3のいずれか1項記載の方法を使用した装置であって、平行な放射方向でおおよそ実際にまたは仮想的に一様な照明を行う装置において、照明の入射角を決める手段を含んでいることを特徴とする装置。
請求項5
色見本の光学特性と塗料モックアップの配合の色テストパターンの光学特性を測定し比較して、差から修正配合を計算し、シミュレートする、請求項1から3のいずれか1項記載の方法を用いて色見本を再現する方法。
請求項6
既知の色見本の光学特性を色原料の物理的パラメータに基づいてモデル化することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項記載の方法を用いて色配合をシミュレートする方法。
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